< HOME

「飼育係長〜八女弁バージョン〜」
by マッキーさん



01
今日は、待ちに待っとった遠足ん日。
わんぱく小学校ん1年2組のみんなは、動物園さん到着せらした。
「みなさーん、お待ちしとりました〜。
むこう山動物園の飼育係長ん いずみさんと、 わたしゃ園長ん山田です。今日はよろしくね!」

02
「ウキーウキー!」「メエーメエー!」
「ガアアアー ガアアアー」「プヒー!」

「うわぁぁ、えすかー」
「みなさん、大丈夫じゃん。まーだ、ちかよらにゃ。」
「おい、せいじ、押すなじゃん!」
「番長さん、先に行ってくれんね」
クラスんリーダーん番長も、あとすざりばしよらす。
「まさお、飼育係やろもん、たのんばい。」

03
「えすがらんで。ほら、えさばやってみてんね」
山田園長ん、えさば手に持っと ウサギてろんヒツジてろんなもぐもぐもぐもぐ。
1年2組ん飼育係んまさおも 園長んまねばしてみっと
「ほんなこつ、ぼか、どーんなか!」
「ぼ、ぼか、無理・・・・」
たかふみな、まさおんうしろで、へたりこんでしまわしたげな。
「なんかじゃん!まさお、オリも負けちゃおられんばい。ほーら、エサばい・・・
ぉわぁ! やっぱ、えすか!!!」
さすがん番長も なかなかエサばやりきらっさん。
「はっはっはっはっは こ〜りゃ おおそーどやねー」

04
「まさお、今日は見直したばい!」
「も〜番長。そげん、ほめなさんな〜。
動物はっさい、えさばやっときゃ、そっで よかとよ」
遠足ん帰り道、まさおは鼻た〜かだかになっとらす。
「さ〜すが飼育係! まさおくんな、将来は、動物博士やね〜」
「ふふん、動物んこつなら、な〜んでん聞かんね!」
「ま、まさおくん・・・」
「なんね、質問ね?」
「さっから、リュックん 動きょるばい・・・」
「あ? そういや〜、背中んもぞ〜もぞすっ!」

05
「プヒー!」
「うわー!!! なーん、こりゃー!?」
まさおんリュックから、なんかん、とびでーてきました。

06
「こん子ぁ〜、こえらしか!」
どうでん 動物園のふれあい広場ん一匹ん
リュックサックに もぐりこんどらしたごたる。
「いかんばい、まさお! 動物園さん もどしに行かにゃ」
「そげんそげん、先生にがらるっばい」
「ちょっ待たんね! みんな! 学校で飼おい! こ〜まかけん見つからんやん」
「ばってん まさおくん。こん子ぁ、なんば食ぶっと?」
「ぼか、知っとーとばい。 こ、こりゃ、シマ子ブタっちゅう
めずらしかブタたい。エサだっちゃ、心配はいらんばい」
「わかった まさお。 ンなら 名前は シマシマ子ブタん“しまぷー”にしゅい!!」

07
しまぷーは、みんなん人気もんにならした。
飼育小屋にゃ、いっでん、み〜んなん 集まってこらす。
「しまぷー、給食室からご飯ば、もろーてきたばい」
「プヒー」
「まさおくん、しまぷーなキャンディーば、食べきらすやか?」
「大丈夫、大丈夫! ほら、しまぷー、 だっでんのご飯ば持ってきてくれらしたよ! どんどん 食べんね。食べんね。」
「プヒプヒ」
「まさお、げーん食べさせてよかと?」
「うん、番長 大丈夫! 食べるちゅうこつぁ、元気かったい!」

08
そりから数日んたちました。
「プヒプヒ」
「な〜んか、しまぷーな、ず〜っとエサば食べよるね・・・」
「毎日見とるだけやったら、おもしんなかね」
「お〜い、たかふみ。ひさ〜しぶりん、野球ばしゅい!」
「OK、番長!」
「あ! 番長さん、おりもかてて! んなら まさお、あとはまかせたばい!」
「うん、まかせとって!」

09
キーン コ〜ン カーン コ〜ン
「よっしゃー! 今日から夏休みば〜い!」
「まさお しまぷーのこつぁ、たのんだばい!」
長か長か夏休みん間中、まさおは いちんちも休まんで
しまぷーに いしょうけんめい えさばやり続けたとです。
「しまぷー、いっぱい食べんねね!」
「プヒプヒ!」
そして、休みんあくっと・・・。

10
「ま、まさお!! なんね こん ふっとか動物は!?」
「あ? なんば言いよっと、番長?
しまぷー じゃなかね」
「しまぷー? しまも無かし、キバまで はえとるやんね!」

「そう言われてみっと、そうやね」

「どげんすっと。げーん太なったら、飼われんとじゃなか?」
「ま〜だ 太なっと? 動物園にかえしにいかんね」
「大丈夫じゃん。しまぷーは、おとなしかけん」
「おりゃ、知らんばい!」
「プヒ?」


11
キーン コ〜ン カーン コ〜ン
そん日ん、放課後のこっです。
「番長、ど、どげんしゅうか? しまぷーのおらんごつなった!!」
「どげんすっと、まさお! エサん足らじゃったとじゃなかつ?」
「車に引かれたりとかしとらんよね?」
「しまぷー、こえとったけんな・・・。食べられとらにゃ、良かばってん!」
「とにかく、 だっでんで 探しに行こい!」

12
「しまぷー!!」「しまぷー!!」
「どけいっとっとー」
「まーだ いっっぺ、餌ばやるけん、帰ってこんねー」

13
もう日も暮れっ来たっちゅーとに、しまぷーは、見つからんとです。
「番長、どげんしゅうか?」
「どげんもこげんもなかろもん・・・。園長に白状して助けてもらわにゃこて!」
みんなは、とぼとぼ歩き始めらした。
「うう・・・ しまぷー・・・」

14
閉まろうでつしよった 動物園に やっとかっと 間にあいました。
「山田園長!! いずみ飼育係長!! 助けッください!!
しまぷーん、家出ばしてしもーたとです。」
「あら? あんたたちゃ わんぱく小学校ん生徒やんね。しまぷー?」
「シマシマの子ブタたい!」
「もしかして、あん日、動物園から おらんごつなった うりぼうんこつね?」
「うりぼう?」
「イノシシん子どもたい。ず〜っと探しよったんばい。あんたたちんとこに おったとね!」
「あ!? しまぷーな イノシシやったつ!!」
「ばってん、いまんなって 逃げ出すとか、
だいたい どげんか飼いかたばしよったと?」
「飼育小屋で ちゃんと毎日ご飯ば やりよったよ」
「ほんなら、掃除ばしてやったり、運動とかドロあびとか、
水浴びとかさせよったとね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「やっぱ、そうじゃった」

15
「動物ば飼うにゃ、食べもんだけじゃのーて、
いろんな世話とか 気づかいがいるとよ。
住む場所だっちゃ大事ばい。きーたなかとことか せーまかとこで
暮らすとは、あんたたちだっちゃいややろもん? それに、走りまわって
遊んだりもしたかっさい。な〜により うりぼうは、お母さんのそばで
ほかん子っ達と いっしょに育つもんなんたい。ちゃんと
動物んこつば 考えて飼わんと、 きつか思いばさせてしまうんばい」
「そ、そげんやったん。そりけん、しまぷーは とびだしたとやかー?
ごめんね、ごめんね・・・。 しまぷー!!」

16
まさおん さけんだ そん時です。
「・・・プヒー」
「あーっ、あんたたち、 ありば見てんね!!」
「プヒーーーー!!!」
「あ! そん声は!?」
「しまぷーーー!!!」

17
まさおたちゃ ばっさらか喜んで
しまぷーに駆け寄りました。
「無事やったとね! 動物園に帰って来とったつやね!」
「今日からは、こん広〜か動物園で 暮らしてよかけんね!!
ぼか、ま〜だしまぷーのこつば勉強して、また会いに来っけん!!」
「プヒーーーー!!」

「ふふ また来んねね。未来の飼育係長くん」



給食番長小学校シリーズ A
『 飼育係長 』好学社 (2014/07)
作:絵 よしながこうたく


ちなみにオリジナルわんぱくシリーズの博多弁と言い張ってる方言は ↓↓

ここです。福岡市は香椎の『香椎弁』