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二〇〇六 年 三 月 風呂神日記
三 月 十三 日(水)

森に入った。
ぽつぽつと
動物のような小さな地蔵が
無数に落ちていた。
見た事も無い景色。
森の中に入る。
木々のすき間に
白い人が立っていた。
口が一つ、顔が二つの犬を連れている。
その後に頭が6つある犬が見守っていた。
顔が二つの犬が私に気付いた。
ぎょっ、として白い人に目をやる。
白い人も私を凝視している。
空気が凍る。
不意に空から黒いしたたり。
その黒いしたたりがムクりと起き上がる。
白い人と犬達が恐れるように
逃げて行った。
三 月 十四 日(木)

ながひょろい
じぃさまが
なにやらふたりで
ごにょごにょ
ごにょごにょ


ききとれない。
三 月 十五 日(金)

大きな人が
小さな人に
何かをわたそうとして
小さな人は
いやいやいいですいらんです。と
ごけんそん。
おしたりひいたり。
おしたりひいたり。
おしたり、
ひいたり。
早く受け取れよと私が思う。
三 月 二九 日(水)

じゃぶじゃぶくろい夜
さぁさぁけぶる水平の土
ぱたぱたはたはた城壁前
もくもく一人
雨にうたるる老兵一人。

老兵が急に立ち上がる。

彼方から白い象。


古い古い古い友達。

ようきなすった。
ようきなすった。
ご無沙汰老兵がご無沙汰老兵と雨涙。
三 月 三〇 日(木)

り〜ん、り〜ん、森の音
薄闇の土手に穴二つ。
そこに埋まるよう
地蔵と獣がいた。
いつからそこに居たのか
獣はしぼんだ瓜のよう。
瞳はもうろう太陽太陽まぶしいよう。
少女と獣が出会う。

お〜ん、お〜ん

土手の影がかさりと動き
目を凝らす。
また白い人がこっちを見ている。
森の中の白い人。
またここに来てしまった。